2005年02月18日

DELLのビジネスモデル

@IT情報マネジメント:SCMコンサルティングの現場から

今回は、もう少しユーザー寄りの視点に立ち、注文(企業側から見ると受注)から後、どのようなシステム処理が行われているのかといった点から説明していきます。ここでは、いまでは一般的になっているWebサイトからの製品発注・購入を例にします。これは、販売する側が製品を決めて製品を販売するモデルではなく、顧客のニーズに応じて製品を供給するビジネスモデルです。



私はBTOマンセーなのですが、最近ではBTOを行なう中堅・小規模メーカーも増えてきておりDELLで買うよりも安く手に入る事が多くなってきました。また大手ではSonyも製品のカスタマイズ購入が可能になっておりCPUやメモリ、HDDの容量等がカスタマイズできるモデルが出ています。

これは既にPCメーカーとして大きな成功を収めたDELLに倣い、成功にあやかるという狙いが大きいのでしょう。PC産業で利益を上げるのは一般に難しいと言われ、最近ではCEOが交代したHewlett-Packardでは売行きはそう悪くもないのにも関らず利益自体は低く、その責任を前CEOのものとするといったところがあったようです。

この売行きは悪くないのに利益があがらない原因というのは幾つか考えられるわけですが、企業や個人において既にPCの普及率が飽和しつつある事と、低価格化の波が激しく出荷台数と一台あたりの利益の比率のバランスが悪く、設計から生産そして販売までにかかるコスト分に見合わず利益率がよくないというのが原因になっていると思います。実際HPでは高機能な省スペースデスクトップパソコンを数万程度で販売しており、機能的な魅力も値段の魅力もあって購買意欲はそそられるわけなのですが、それが数万台売れたにしても利益は雀の涙とあってはHPとしてはいかんともしがたいわけです。このままPCの販売を続けても利益に繋がらないのであればPC事業を撤廃するという話まで出てきており、安価なPCを求めるユーザーとしては痛い結末がまっているような気がします。

そんななかで、唯一とも言っていいくらいの成功を収めたDELLは、BTOによるPC販売を主流とし同時にプリンタの販売も行なって更に利益を上げています。ソフト等の自社製品はなく純粋なハードベンダと言えるのではないかと思います。大手は割と手広く色々な事業を開拓していく傾向にあると思うのですが、DELLはそういった場合と比べてこじんまりしていると言えるのではないかと。

特にDELLでは企業から好まれる傾向があり、デスクトップやノートの大量導入や安価なPCサーバーといった場合において非常に人気があります。また昨今のLinuxブームに上手く乗ってサーバー製品ではOSとしてRedhat Linuxがバンドルされるモデルもあり、ブームを上手く利益に繋げていると言えるのではないかと思われます。

個人から見ればノートにおいては液晶の質が良くなかったりと、ノートマンセーな私としては品質的にはそれ程良い印象はありません。ただ、DELL製品の傾向としてある大きくてゴツい筐体には惹かれる部分があり、中々萌えます。個人においてはそういった外見上(強そうとか男性的とか無骨とか)の好みでのファンが少なからずいるようです。また個人利用においても安価なPCサーバーが手に入るという事で、既存のデスクトップを流用したり自作でサーバー向きのPCを作るより楽でサポートもあり猶且安価という事もあり人気は上々のようです。

次にBTOはなぜウケるのか、企業と個人に共通して言える事はパーツ単位のコストはかさむにしてもサポートを受けられる範囲内で性能の増強が可能である事が挙げられると思います。純正品であるという安心感もあるでしょう。更にバラして自分で入れ替える手間を軽減できるという点では、PCを分解する事ができないユーザーや、数が多くてチマチマとやってられない企業にとっては大変助かります。注文して、手元に届いた時点で自分の望む状態にあり、多くのメーカーの製品のスペックを比較してどこのメーカーのどのモデルにするか選ぶという手間も省けるわけです。特にサーバーにおいてはスペックは重要ですから、コストを考えて望ましい状態に近付ける事が可能になります。アップグレードもダウングレードも出来る(ダウンすれば当然安くなります)ので状況に合わせてコスト削減も可能となるわけです。

またDELL側にとっての利点として、モデル間の差別化に躍起になる必要がないというのも挙げておきましょう。肝はBTOによるカスタマイズですから、製品の差別化は「基本スペック(いわゆるプリセットです)」と「外見(サイズ等も含む)」、「製品のコンセプト(ゲーム向きとか、ビジネス向きの廉価モデルとか)」を変えればいいのであって、前モデルに格差をつけなくとも欲しいスペックや機能は客側で指定してくるので、DELL側で差別化のために思い悩む必要は一般的なビジネスモデルに比べて少なくて済むというわけです。つまり、新しいCPUが出た新しいマザーボードが出た等々という場合には、単純にそれを採用した製品を売りだし、そうでない場合は既存のパーツの組合せ(選べる範囲等も)を変えて新モデルとして出せばよいというわけです。製品のラインナップを見ていただくとわかるのですが、基本スペックが低く安価な製品というのはカスタマイズできる上限が、高性能な効果なモデルと比較して低かったり、同等程度の性能まで引き上げると高性能なモデルの金額を上回るようになっていたりします。こうして差別化を図るわけです。製品の入れ替わりはローテーションに近く、前までは高性能なモデルだったものが外装が変って安物モデルになって、新しいパーツを採用した物が新たなニューモデルとして出てくる等といった具合になります。

さらに外装が使い回される場合も少なくなく、また同様の安価な製品を出すメーカーとパーツの共有(生産ラインが一緒等)を行なって安く済ませたりもしています。有名なのでいえば、かつてのGatewayとDELLでは共通するパーツが多く製品のコンセプトも似通っており、パーツの流用が可能となっていました(外見も中身も全く一緒でロゴだけ違う製品というのもありました)。Gatewayが国内においての競争に負けて一時撤退したわけですが、その後も同時期のDELL製品のパーツを流用して大事に使っていたファンもいたようです(私もそうでした)。カスタマイズができる利点というのはDELL側にもあって先程の基本スペックと製品のコンセプトについて考えていただければわかると思うのですが、パーツを組み合わせる仕組み(設計的な面において)により新しいモデルの設計も「組合せで可能」なわけですから、一から図面を起すよりも楽なのは当然です。またBTOを実現するにあたって基本的な設計面での仕組みはあまり変らずノートにおいてはBTO用のマザーボードに拡張カード(CPUやグラフィックカード等も含む)を組み合わて使うというだけでOKです。外装も中身の都合に合わせて作られる場合も少なくなく、その他のBTOメーカーと中身や中身を入れるための外装の内側の設計も各社共通であったりする場合もあります。こうしてコストを削減できるわけです。各パーツは当然外注で設計も製造も外注です。異なるメーカーであっても流用可能であるとか似通っているだとかいうのも頷けると思います。

先程挙げた「売行きは悪くないのに利益が−」という部分を思いだしていただきたいのですが、DELLはどうやって利益を挙げているのか…それはまず大幅なコスト削減が可能なビジネスモデルと製品の製造工程を持っているからです。次に法人に人気があり大量に数をさばける点、店頭での販売よりもDELL直販での受注に重点を置いている点等があげられます。
posted by bf109 at 17:38| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 戯言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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