スラッシュドット ジャパン | 教育現場へのLinux導入実験、中間報告
授業の様子が紹介されています。
なお注意してほしいのは、ここで実践している教育とは 「ITを教える教育」ではなくて、 あくまで「ITを活用した教育」であるということ。 教育現場へのLinux PC導入の是非に関する詳細は実験終了後に出るレポートに期待するとして、 子供達はとくに違和感なくLinux PCを使っているようです。
まあ、コメントの方にWindowsがどうたらこうたらマンセーとか書かれてる感じですが、今回はWindowsは関係ナシです。Linuxを試すのが目的であってWindowsと対決したり、信者論争を繰り広げるための餌にしたりするのが目的じゃありませんから。
で、テストの方ですが、授業風景を見る限りは教育用ツールを駆使して−というよりはとりあえずLinux界隈で一般的に使われているソフトウェアを利用して授業をサポートという形になっているようです。タレコミ文にあるというPCの使い方や計算機科学を教えるのが目的ではなくて、あくまでPCを活用して授業を行なうのが目的。だからOSは何でもいいわけですね。重点が置かれるのは安さとか、カスタマイズ性等々と。そこは順を追って考えましょう。
まあ、まず今後はこのLinux界隈でよく見られる一般的なソフトウェア達に代わって教育向けの専用ツールの開発とかコミュニケーションツール(掲示板とかチャットとか、グループウェア的なもの)が用意されて、そっちが主力になっていくんだろうなと思います。そういったツールは去年の秋頃にcnetかどっかのニュースでMSが作ったとか何とかちらっと見た気がします(ソフトの方はたぶんこれ)。Linuxにもそういったソフトが出てくるのが期待できるのと、あとは授業内容の理解を手助けするソフトですね 教育ソフトとでも言いましょうか。そういうものがオープンソースソフトウェアとして出て多言語化が施されれば教育の輪が広がりますね 実に良い事だと思います。ここ数年のオープンソース界隈はビジネスビジネスと堅苦しいですが、オープンソースはそういった部分で是非とも役立って頂きたいなと思います。お国から金が出てその金で文部省推薦の教材フリーソフト書いてタダでばら撒くというのは中々良いんじゃないかと ほんとに。夢が広がりんぐ。まあ実際そこまでオープンにするかどうかというのわかりませんし、国側で面倒みるのかとか見たとしても教材として正式に認められるのかとか色々問題はありますが仮に教育機関内でしか流通しなかったにしても学校側だけでもタダで使えれば、ありがたい話だと思います。
まあ、実際に利用する側(教員&子供達)と扱う側(管理者&技術者)によって意見も違えば、仮に使う側はこう思ってて管理する側は−という憶測もできるわけで、これまで通りまたそこらへんを勘ぐろうというわけです。教員にしても子供にしても専用ツールで塗り固めればLinuxであろうとWindowsであろうとOSらしさは隠蔽されて実質そのツールを動かす土台としてしか機能しなくなり、ほんとに中身は何であっても構わないという事になります。MozillaやFirefox等の類いのブラウザも使い勝手の面では少なくともIEに劣っているとは思いません(主観です)。デスクトップ環境もKDEから簡単ファイルなファイル操作やアプリの起動を行っているだけのようですから、ここもKDE固有云々の問題も然程出てこないので問題にならないでしょう。
次に管理者ですが、たぶんにOS側の面倒を見るとしたら脆弱性の修正のみとなります。専用ソフトや基本ソフトが滞りなく動けば何の問題もないでしょうから我々趣味ユーザーとは違って先端や新機能をずんずん追及していく必要もなくまったりしたものだと思います。バイナリパッケージ主体で連絡のあったものだけをアップデートツールを用いるなり、定期的に自動でチェックし変更があれば自動アップデートといった感じになるんじゃないかと。ユーザー管理に関しては、特に難は無いでしょうし(少なくとも基本的なLinuxの知識さえあれば)、クライアントマシンの集中管理も市販なり作るなりで行なえます。というかもともとそういう部分は割りと得意な分野じゃないかなと思います(Unix系OS全般において)。
次に技術者、ここにきて問題です。実際専用ソフトの開発が始まれば相応の数の技術者が必要になるわけですが、ここらへんの扱いがちょっと不透明です。汎用ソフトのみで乗り切るなんてのはいくらなんでも考えられませんし、たぶんに教育用ツールの開発はあるんだと思うのですが技術者今回のテストを行なった方々が中心となるのか、有志を募るのか、はたまた政府機関から援助金が出てフリーソフト支援団体みたいなとこでプロジェクトの管理やら運営やら開発やらを受け持つのか、はたまた企業にお願いしてクローズドなソフトにするか、企業にオープンなものを作らせようというのかというのがわかりません。ここらへんは今後の動向を見守るとしましょう。私の個人的な意見としましては是非ともオープンにして戴いて広く利用できるようなると良いなと。ただ、プロジェクトだけ立ててあとは有志がくるまでマターリなんてのはペース遅すぎですから、頭数が揃って開発が始まり今回のような試験が行なえる状態になるまでに、飽きられたりお流れになったりしてしまう可能性もなくはないわけです。できる限り早いペースでこのあたりを明確にしていっていただけると良いなと思います。プロジェクトの概要を見る限りではオープンスタンダードを唱ってはいるので、クローズドになる心配はないかな…とは思いますが、大人というのは色々な事情がありますからね…。
前回これがらみで否定的な記事を書いたわけですが、実際に試験的に稼働してみての結果を踏まえると、先はそう暗いものではないようです。ただあくまで「Linuxだから皆によろこばれる」なんてことはないです。Linuxの物としての良し悪しとは別の次元では喜ばれる事もあるでしょうが、このプロジェクトが正式稼働にこぎつけて相応の評価を得てもデスクトップLinuxが認められたというのとはまた違うものであると思います。