japan.linux.com | 次世代スーパーコンピュータはLinuxにとって追い風か
昨年11月、Linuxを搭載した米IBM社のBlueGene/Lシステムが、リンパックベンチマークで70テラフロップ/秒(1秒間に70兆回の計算)を叩き出し、それまで超高性能コンピューティング(HPC)のキングに君臨していた日本の地球シミュレータをその座から追い落とした。地球シミュレータはカスタマイズ版Unixを搭載していて、その計算能力は35.86テラフロップ/秒だった。IBM社は、その後、BlueGene/Lの性能をさらに2倍近くに引き上げて首位固めを図り、2005年6月のトップ500リストでもリンパック136.8テラフロップ/秒で首位を堅持している。
あくまで、ベンチの結果ですから実際に運用するとなるとギャップは出てくるんでしょうけれども、HPC市場のLinuxは強すぎ。というか他に競争相手がいないというのが最大の理由じゃないかなと。MSもHPC向けWindowsの開発をすると以前言ってましたが、それもどうなる事やら。開発にかかる費用や、その採算を取る事を考えると中々欝な企画です。
HPC分野のLinuxでは、主導をとっているのがやはりkernel開発者、そこにお金と機材を提供するハードベンダという形になっています。ベンダから人材を出しているケースもあります。一社が全てを担って開発を進めるよりはお金はかかりませんし、機材を広く利用できる形になっていれば参加できる人数も増えます。Linuxの開発形態からしても、コード提供者本人がその機材の前にいなくても機材を利用できる人間が評価して、その結果を伝えたり、どこをどうすれば良いかなどの情報交換を他の人の目に見える形でできる事もあり、当人達以外にも勉強になったりします。そうして開発されてるわけですから、他よりペースが早いのは当然。頭数も違いますしね。
一社が頑張ってあげられるペースというのは限度がありますし、投資できるコストも上限があります。採算が合わないとお話にならないですから、例えばMSが今から物凄いペースでHPC Windowsを作っても、すぐには利益にできないでしょうから採算が合いません。まずその手の市場の消費者は一貫した環境よりもフレキシブルな環境を好み、細かくチューニングが施せるだけの自由度を必要とします。
例えばWindowsでいえばこれまで通り、ハードベンダ側とくっついてWindowsに最適なハードウェアをこさえていくというな手口ではパフォーマンスの向上は望めません。なぜならHPCをこさえるハードベンダはOSに気を配るよりも、とことんハードの性能を向上させていきたいわけですから、ハードがOSに合わせるよりも、OSがハードに合わせてほしいというのがあります。Windowsのような何年間も代わり映えしない環境だと、すぐについていけなくなりますし、HPC界での流行りが変るたびに、膨大なコストがMS側にかかるわけですから大変です。今のPC市場のようにMS様様状態には、まずならないでしょう。
そこのコストを低減(分散)できるのがLinuxを始めとするオプソ系OSなわけです。お金の周り方とかがある程度決ってきたLinuxが中でも一番強いんじゃないでしょうかね。
記事にもありますが、ソフトベンダがやる気を出さないのが、そのお金と時間の部分が一番大きい。採算合わないし、状況に追従していくだけでも大変なわけですから、その市場でリーダーシップを取りたいなんて気にならないだけでしょう。やれば出来るがやる気がない、なんてのはまさにそこ。