IDCの調査によれば、2003年の世界ソフトウェア売り上げは前年より5.1%成長の1780億ドルに達し、2004年には1890億ドルに成長する見込みだ。ソフトウェア業界はマイナス成長からは立ち直ったものの、以前のような二ケタ成長は当面見込めないと同社アナリストは予想している。
日本以外のアジア諸国が肝となっていると思われる、この成長ぶり。もちろんお金の話であって技術の話ではないので御注意。
この成長のペースは比較的遅いようで、IDCは2008年までに6.9%の成長を予測しています。今後は以前のような二桁ペースでの成長はのぞめないとのこと。記事でも触れられていますが、急成長を見せるアジアの市場は同時に海賊行為や政治等の不安要素もまだ沢山あるとのこと。
IDCのグローバルソフトウェア担当副社長であるアンソニー・ピカーディ氏は、「ソフトウェア業界は初めてのマイナス成長から立ち直ることができたが、以前の10年間のような二ケタ成長は、予想できる未来においてはないだろう」と述べている。複雑性、セキュリティ、ソフトウェア品質、マクロ経済の要素などが、業界の成長を阻んでいると同氏は分析する。
ソフトウェアの品質も悪影響を及ぼしているというのは激しく同意するところであります。というよりも、そういった部分に興味を持つ、あるいは重要視する人の数が少ない事が重要なんじゃないのかなぁと。ソフトウェアの性能が仕事に大きな影響を及ぼすような環境でもない限りあまり気にする人がいない。特に個人利用においてはそうで、大抵の人はソフトウェアの性能を気にする前に、新しく高性能なハードウェアを入手してしまいますから気にしないのは当然とも言えます。
また、技術革新が起らない、いつまでも似たような環境でいつまでも同じような機能を焼増しして使い続けるといった感じでしょうか、技術革新は全てにおいてプラスになるとは言い難く革新に追い付けない人は当然おきざりになってしまいます。だから必ずしも歓迎されない場合もあり、企業にとってはそこで大きなコストがかかる場合もあります。
また、それを行うメーカー側にとっても大きな問題があります。コストです。技術には金も時間もかかります。新しいものを生み出そうとするなら尚更です。過去の歴史を振り返ってみると、ソフトウェア業界において技術革新と言えそうなものは、大学等の学術機関、研究機関、商売っ気のない企業が生み出した物を、商売上手な人が「買取る」「提携する」「パクる」等して実際に商品化する事で、我々の手に届いている場合があるわけです。特に商業的に成功したメーカーはそうしている場合が多いのではないかと(かと言って成功してないからといってそうではないというわけではない)。
結局、企業というのは利益をあげるために集まった集団ですから、技術的進歩1つにしても利益をあげられて、投資に見合う価値が十分にある事が事前に完全にわかってないと動きません。見切り発車する勇気のある企業もありますが、そこで成功するかどうかは本当に賭けです。賢い企業はそういう事はしません。
いつまでも同じで、いつまでも進歩しないのであれば、この緩やかな成長も近い将来止まるんじゃないかなと思います。
Linuxについても述べられていますが、この点は記事通りでしょう。ほんの数年で衰えるような勢いではないと思います。